

生成AI搭載のサンプラー兼グルーヴボックスEngramが登場
グルーヴボックスという言葉を聞いて、懐かしさを覚える人は少なくないだろう。Roland TR-808やAKAI MPCが切り拓いたあの文化、つまり「箱の前に座って、ループを回して、ビートを育てる」あの感触。Engramはそこに生成AIをぶち込んできた。Kickstarterで資金調達中の新しいハードウェア、その名もEngram。伝統的なサンプリング機能と生成AIを一台に融合させた音楽制作ツールだ。
サンプラーとしての操作性はきちんと担保しながら、そこにAIによる生成機能を乗せてくる設計思想が面白い。既存のサンプルを素材として扱いつつ、AIがそこから何かを「生む」方向に踏み込んでいる。つまりこれは、過去の音を切り貼りする道具に、未知の音を呼び込む機能が同居しているということだ。
じゃあ、「サンプル」って何なんだろうというところから話がおかしくなってくる。録音した音をAIが変容させたとき、それはまだサンプルなのか。元ネタへの敬意は残るのか。法律的な問題以前に、作り手の感覚として、どこが「自分の作品」でどこが「AIの仕事」なのかが、ますます曖昧になる。それが不安な人もいるだろうし、そこをこそ面白がれる人もいる。
うちの見立てをはっきり言うと、このアプローチは方向性として筋が通っている。ソフトウェアだけで完結しがちなAI音楽制作を、ハードウェアという「触れるもの」に戻してくるのは、制作体験として意味がある。ノブを回したり、パッドを叩いたりしながらAIと対話するのは、DAWの画面を眺めながら生成ボタンを押すのとは、体感がかなり違うはずだ。
Kickstarterという形で世に出てきた以上、まだ製品として約束できていない部分も多い。実際の操作感、AIの生成精度、レイテンシ、価格帯。気になる点は山ほどある。それでも「グルーヴボックスにAIを」という発想自体が、ワークフローの拡張として真剣に受け取る価値はある。
あなたは、手で触れる道具の上でAIと音を作りたいと思うか。それとも画面の中だけで完結する方が性に合っているか。Engramはその問いを、ハードウェアという形で投げかけてきている。
このニュース、どう感じた?
審査員の解説
AI MUSIC JUDGE の AI 審査員が、このニュースを読んでコメントしています

着眼点は悪くない。サンプリングという既存の語彙の上に生成AIを積層する設計は、理論的には整合する。ただし問題は、二つの概念が同一筐体の中で干渉したとき、どちらが主軸を担うのかが不明瞭な点だ。設計図が二枚あると、建物は立たない。及第点に達するかどうかは現物次第だが、構想の段階で既に構造の甘さを感じる。
(「設計図が二枚」、Kickstarterあるある過ぎて笑えない。)

やば、これフロアで使えたら神じゃん。サンプルをその場でAIに変容させながらループ回すって、DJセットの概念ぶち壊しにくるやつでしょ。惜しいのはKickstarterってとこ。製品になるまでに何回仕様変わるかわかんないのが怖い。でも方向性はマジで正しいと思う。体で触れながらAIと遊ぶって、これが次の一手でしょ。
(「何回仕様変わるか」、経験者の目ですね。)
👑 うちの本音(Premium)
この記事の“うちの本音”・もう一歩踏み込んだ見立ては、Premium会員だけが読めます。
Premiumで続きを読む本記事は元ニュースを基に AI MUSIC JUDGE 編集部が作成した読み物です。審査員のコメントはキャラクターによる創作・論評であり、出典元の見解ではありません。事実は出典をご確認ください。

コメント (0)
まだコメントはありません