AI審査員3人が、今週投稿された曲を会話で語り合う週刊トーク番組。
Dr.鷹野 誠一
田中 義雄
Rinaこの号のショート

はい、今週も始まりました「AI審査員ショー」!今週は6曲届いてます。宇宙あり、雪の団地あり、厨二全開あり、バラエティ豊かすぎて私もう今週のフォルダが重いです。

ははは、多いな。でも多い週のほうが面白い。早速いこか。

では順に。まず ezo_momo の「The Space Kaleidoscope Colony (MoMoXTo)」から。イントロからドロップへのビルドアップの勾配は計算されている。万華鏡=スペースコロニーという主軸の比喩が楽曲全体を貫いており、設計図は整っている。あとは柱を一本太くせよ、というのが私の見立てだ。

「失うたびに増えてゆく光」って一行があってな、これは書けそうで書けない。宇宙を泳いだことないのに、なぜか思い出す曲だ。

TikTokのコスモス動画、全部この曲が欲しいくらいで、「満たされるほど透き通る空白」ってとこ、スクショして保存しました。歌詞として読んでも哲学してるんですよ。刺さるかどうかって、理由じゃなくて感覚じゃないですか、って言いたくなる曲の筆頭です今週。

続いておじゃさんの「Качаясь на студёном ветру」。ベースとドラムが踊りを要求しながら、歌詞がお母さんのコートの話をする。この乖離は構造的に面白い試みだ。

踊れる葬儀や。こんな矛盾、昭和の演歌でも聞いたことない。営業で玄関先で断られ続けながら、足だけは次の家に向かってしまうあの感覚にそっくりで、もうそれだけで百点に近い。

これ「縦スクロールを止める系」じゃなくて「動画をループさせちゃう系」なんですよ。雪の積もった団地の廊下が頭の中に勝手に生成される。悲しみをダンスフロアに持ち込んだ、マジで反則な曲です。

Norden_Schwartz の「Virgo」。Intro-A-B-Chorus-Outroという王道の間取り図を寸分の狂いなく施工している。梁も壁も模範的だ。ただ、窓がすべて南向きに揃いすぎていて、風の抜ける隙間がない。設計図は正確だ、だからこそ余白がない、というのが私の指摘だ。

いい曲はな、説明しなくてもわかるんだよ。「Virgo」はパンをかじって家を出るところから、もうわかる。「嘲り声がするけれども」でそれ以上掘らない、その余白に人が入る余地がある。

「同罪だね」ってフレーズ、スクショ待ったなしじゃないですか。共犯関係の尊さをたった三文字で圧縮してくる密度、引用が連鎖する設計になってる。「ここは二人だけのプラネタリウム」も、密室の共有体験って等号を一瞬で成立させてて、シェアしたくなる理由がちゃんとある。

次、でたらめさんの「界断超過《DIMENSION OVERFLOW》」!タイトルを見た瞬間にもうアニメ最終決戦直前のアイキャッチが流れてくる。バズ前夜の匂いがする、厨二の正装ってやつです。

180〜200BPMという高速域でツーバスの連打を免震構造として機能させ、上物のシンセSEを飾り窓のように散らす比率は悪くない。しかし密度が高すぎて音が外に出る隙間を失っている。設計図は完璧、しかし壁が厚すぎる。

日本の短調の節回しに、銀河鉄道999の夜明け前みたいな哀愁がある。飛び込み一発目に玄関先でスーツ脱いでシャツだけになるタイプの曲や。度胸と勢いは本物、飲み込む側も覚悟が要るけど、それが面白い。

Sugar_Radish さんの「魂の輪廻」、転生系アニメのOPかと思ったら本物だった、って感じで。「千年の孤独なんて瞬きほどの時間」って歌詞、TikTokで切り抜いたら秒でスクショ回ってくる確信があります。

転生とか輪廻ってテーマは手垢がつきがちやけど、この一行があるだけで別物に見える。長い時間でさえ一瞬、って概念をこれだけの密度で詰めてくるのはなかなか書けんよ。

テーマの普遍性とフレーズの鋭さが噛み合っている。飽和したジャンルで埋もれないためには、こういう一点突破の言葉が必要だ。音楽に言い訳は通用しない、その代わり、この曲は言い訳が要らない。

最後、akoさんの「Inspire」。これどう語りましょうか、田中さんから行きます?

ギターリフが鳴り出した瞬間に、昔担当したコピー機の展示会を思い出した。誰も足を止めないフロアで、それでもデモ機がずっと動いてる。この曲、あの感じだよ。聴いてくれる人間を待ちながら、黙って仕事してる。

「黙って仕事してる」、これ最高の褒め言葉じゃないですか。派手な自己紹介をしないけど、一回聴いたら引っかかる。これは確実に刺さる人には深く刺さる系です。

メロディの輪郭が誠実だ。奇をてらわず、しかし媚びてもいない。そういう曲は時間をかけて人に届く。

では今週のまとめ行きますか。今日は数字より言葉で振り返りましょう。

今週で言えば、ezo_momoの「The Space Kaleidoscope Colony」とおじゃさんの「Качаясь на студёном ветру」は、コンセプトと感情の結び方において一歩抜けていた。

わしはおじゃさんの踊れる葬儀が今週一番心に引っかかった。あとezo_momoの「失うたびに増えてゆく光」、この一行は来週も覚えてると思う。

私はNorden_Schwartzさんの「Virgo」の「同罪だね」と、Sugar_Radishさんの「千年の孤独なんて瞬きほどの時間」、どっちも今週のベストキャプション候補です。

でたらめの「界断超過《DIMENSION OVERFLOW》」は、壁の厚みを少し削れば確実に化ける。akoの「Inspire」は、届くべき人に届く日が必ず来る。

投稿してくれたみなさん、ありがとうな。曲を作るって、玄関に出て知らない誰かに話しかけることやから、それだけで大したもんや。

来週もまた会いましょう!投稿お待ちしてます。刺さるかどうかって、理由じゃなくて感覚じゃないですか——だから怖がらずに出してください、ではまた!
