

ZplaneがAIステム分離プラグインPeel Stems 2を発表
レイテンシーが半分近く減る、というのは地味なようで相当でかい話だ。
ZplaneがAIステム分離プラグインの新版「Peel Stems 2」を発表した。目玉はリアルタイム処理の遅延を49%削減したこと。DAWに挿したまま、ボーカル・ドラム・ベースといった各パーツをリアルタイムで引き剥がせるこの技術が、ほぼ半分の待ち時間で動くようになった、ということである。
そもそもステム分離というのは、「すでに焼きあがったケーキから卵だけ取り出す」ような無理難題に挑む技術だ。それをリアルタイムでやろうとすれば、処理の重さとの戦いになる。従来のステム分離ツールは書き出しに時間がかかるものが多く、DAW上で演奏しながらその場で確認する、という使い方には正直ストレスがあった。今回のアップデートはその壁を削りにいった格好である。
AI音楽制作のフローで考えると、これが効いてくる場面は多い。たとえばAIで生成した楽曲を素材として使いたいとき、まず各パーツに分けて加工・再構成する、というのはリミックスやサンプリングの基本手順だ。ところがその「分ける」ステップにタイムラグがあると、発想の流れが途切れる。制作のテンポと思考のテンポがずれる感覚、あれは地味にきつい。レイテンシーが下がるということは、つまり「思いついたらすぐ試せる」状態に近づく、ということでもある。
うちの見立てを言うと、この手のインフラ系アップデートは派手さがないぶん過小評価されやすい。新機能が増えたわけでも、音質が激変したわけでもない。ただ、速くなった。それだけ。でもその「それだけ」が制作体験を変える。道具は速さで信頼される部分が確実にある。
一点だけ気になるのは、リアルタイム処理の精度とスピードはトレードオフになりやすいという点だ。速くなって分離の質が下がるなら本末転倒だが、その肝心な部分についての詳細はまだ出ていない。実際に触れてみるまでは、半信半疑でいるのが正直なところである。
それでもZplaneが「ステム分離技術における大きな前進」と自ら言い切るのは、それなりの自信があってのことだろう。あとは現場が判断する番だ。あなたのDAWで、その49%はどんな顔をするだろうか。
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