
UMGとHYBEのトップが語る音楽業界のAI活用と未来
音楽業界の「頂上対談」が、ソウルで開かれた。ユニバーサルミュージックグループ(UMG)のサー・ルシアン・グレインジと、HYBEのバン・シヒョク。世界最大の音楽会社と、BTSを生んだ韓国発の巨大エンタメ企業、そのトップ同士がタウンホール形式で向き合い、AIと音楽の未来について語った。場所がソウルというのも象徴的だ。K-POPが「産業としての音楽」を世界に問い直したこの街で、AIという次の問いが立てられた。
ふたりが口をそろえて言ったのは、音楽制作におけるAIの可能性と、人間性の重要性という、ある意味で矛盾してもいい二項だった。でも、矛盾させなかった。AI技術をビジネスに取り込みながら、アーティストの価値をどう維持するか。これは今、あらゆる音楽関係者が頭を抱えているテーマで、それを業界の最上位プレイヤーが「答えを持っている顔」で語る場面は、それだけで注目に値する。
AI音楽の作り手にとって、この対談が持つ意味は小さくない。UMGもHYBEも、AIを敵視する立場はとっていない。むしろ、自分たちのビジネスにどう組み込むかを本気で考えている。つまり「AIで作った音楽」は、大手がすでに視野に入れている現実のひとつだ。ただし条件がある。アーティストの価値と人間性を損なわない形で、という枠組みを彼らは手放していない。
ここで素直な疑問が浮かぶ。「人間性」って、誰が定義するんだろう。UMGやHYBEが「これは人間性がある」と言えば、市場でそれが通るのか。あるいは、AIが生み出した表現そのものが新しい「人間性」を獲得していく可能性は、議論の俎上に載っているのか。
今回の対談は、答えというより「大手がどこに立っているか」を示す座標として読むべきものだと、編集部は見ている。彼らは今、AI技術を取り込む意志と、アーティストを守る建前の、両方を同時に手に持っている。それは矛盾ではなく、ビジネスとしての現実的な選択だ。問題は、その「両方持つ」がいつまで成立するか、だ。
AIで音楽を作り、聴かれることを目指している人にとって、この業界の地殻変動は対岸の火事ではない。頂点がどこに向かうかは、裾野にいる全員の地形を変える。ソウルの対談が残した問いは、まだ答えを待っている。
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