
Saregama、AIを活用して楽曲のミュージックビデオを自動生成
インド最古の音楽レーベル、Saregamaが面白いことを始めた。自分たちが持っている過去の楽曲に、AIでミュージックビデオを新たに作ってしまおうというのだ。
そもそもSaregamaには、音源の権利は持っているけれど映像は一切持っていない楽曲が大量にある。古い時代の録音というのはそういうものだ。スタジオで録られて、フィルムには乗らなかった。だから今まではサブスクや配信に音源を置いておくだけで、視覚的なコンテンツとして勝負する手段がなかった。
じゃあどうするか。映像を一から撮り直すには予算も時間もかかる。でもAIがあれば、音源さえあれば映像を生み出せる。Saregamaはそこに目をつけた。カタログの眠っていた楽曲たちを、AIが生成したビジュアルで包み直してZ世代向けのコンテンツとして再提示する戦略だ。
これ、単なるリマスターや再発とはちょっと違う。音そのものは変えていない。変えているのは「どう見せるか」の部分だ。TikTokやYouTubeで育ったZ世代にとって、楽曲と映像はセットで体験するものになっている。音だけ置いておいても届かない。でも映像があれば、1960年代や70年代の楽曲だって今の感覚で受け取ってもらえる可能性がある。
編集部が気になるのは、ここで問われる「作品」の定義だ。音源の権利はSaregamaが持っている。でもそこにAIが生成した映像を組み合わせたとき、それは元の楽曲の延長なのか、それとも新しい何かなのか。映像を「所有していなかった」からこそAIで補填できた、というロジックは面白いし、権利処理の観点からも筋が通っている。ただ、元の音楽家たちはこの映像をどう受け取るのか。その問いは、この戦略がビジネスとして成功するかどうかとは別のところで、ちゃんと残り続ける。
大きなカタログを持つレーベルにとって、眠っている資産をどう活かすかは長年の課題だった。Saregamaのこの動きは、その答えの一形態として世界中の同業者が参照するモデルになる可能性がある。インド最古のレーベルが、最新の技術で一番古い楽曲を掘り起こす。そのねじれが、なんとも興味深い。
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