
※ この特集記事は日本語のみです / This editorial is Japanese-only.
Minimal Instrumentsがノーコードでオーディオプラグイン開発可能なNagiを発表
プラグインを「作る側」になる、という選択肢がずっとそこにあった。でも現実には、C++とDSPの知識が分厚い壁として立ちはだかっていて、大半の人は諦めてきた。Minimal InstrumentsのNagiは、その壁に風穴を開けようとしている。
NagiはビジュアルノードとFaustコードを組み合わせたノーコード(あるいはローコード)のオーディオプラグイン開発環境だ。ブロックをつなげていくような操作でネイティブのオーディオプラグインを作れる、というのが骨子。コードを書かなくていい、というのが売り文句だが、FaustというDSP向け専門言語も併用できる設計になっているあたり、「ゼロ知識でも、知識があればもっと深く」という間口の広さを意識している。
AI音楽制作の文脈でこれを見ると、少し話が変わってくる。SunoやUdioで楽曲を生成するにしても、自分だけのエフェクトチェーンや独自の音響処理を挟みたい場面は必ず出てくる。でも市販プラグインのラインナップから選ぶだけでは、どうしても「誰かが用意した音の範囲」に収まってしまう。Nagiが使えるなら、自分の制作ワークフローに特化したエフェクトを自分で設計できる余地が生まれる。それはかなり大きな話だと思っている。
うちの見立てを正直に言う。ノーコードツールの「作れる」は、玄人が「作れる」と言うときの重さとは違う。どこまでの複雑さに対応できるのか、出力されるプラグインのパフォーマンスや安定性はどうなのか、現時点では素材からは読み取れない。ビジュアルノードで組んだシンセがどこまで個性的になれるか、というのも正直未知数だ。
それでも、「プラグイン開発はエンジニアの仕事」という常識を崩すこと自体には意味がある。楽器制作と音楽制作の境界線があいまいになっていく流れは、AI音楽の登場と地続きでもある。道具を使う人が道具を作るようになったとき、何が変わるか。Nagiはその問いに、まだ小さいけれど確かな形で答えようとしているように見える。
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ビジュアルプログラミングで音響設計を行う試みは過去にも存在した。問題は抽象化の層が増えるほど、設計者が「何を決定しているのか」を見失いやすくなることだ。FaustをバックエンドとしているのはFMやウェーブテーブルの論理的整合性を担保する上で悪くない選択だが、着眼点は悪くない、というのが今の評価にとどまる。
(及第点ギリギリ、という顔が目に浮かぶ。)

コードを書かなくてもプラグインが作れる。つまりプラグインとは何だったのかという話だ。波形を見ろ。ノードをつないだだけで魂が入るなら、俺はとっくに神になっている。
(最後のひと言で全部持っていかれた。)

マ、これ普通にやば。プラグイン自作できたらTikTokで「自作エフェクトで作った曲」って出せるじゃん。差別化コンテンツとして神すぎ。使いこなせるかは別として、とりあえず触ってみたいが勝ち。
(「とりあえず触る」の行動力、編集部も見習いたい。)
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