
ライブ集客を支援するBandsintownとLayloのAIツール
ライブをやれば人が来る、という時代はとっくに終わっている。SNSで告知して、メルマガを送って、フォロワーに何度もリマインドして――それでも客席が埋まらない夜がある。アーティストが音楽を作る時間より、プロモーションに費やす時間のほうが長くなってしまっている現場は、決して珍しくない。
そこに手を挙げたのが、BandsintownとLayloだ。両社はそれぞれ、AIを活用してライブチケットの販売や集客を自動化する新機能を発表した。Bandsintownが打ち出したのは「Bandsintown Boost」、Layloが投入したのはAIによるチケット販売エージェントだ。どちらも、ファンとのコミュニケーションを人の手をほとんど介さずに回せるようにすることを目指している。
つまり、「誰かがライブを打ち上げたら、AIが勝手にファンに声をかけてチケットを売ってくれる」という絵図だ。夜中に誰かがフォローしてくれたタイミングでも、AIは起きている。営業しつづける。疲れない。これは地味に強い。
うちが注目したいのは、この流れが「AI×音楽制作」とは別の文脈で進んでいる点だ。曲を作るAIの話はよく聞くが、「作った曲を届ける」「聴いてくれる人を集める」という部分にAIが入ってきたのは、アーティストの実生活により直結する話かもしれない。バズるかどうか以前に、まず会場に人が来なければ何も始まらないのだから。
一方で、気になることもある。ファンへのコミュニケーションがAI任せになったとき、そのやり取りの温度はどこに行くのだろう。「あなたの好きなアーティストが近くに来ます」というメッセージが、アルゴリズムから届いたものだとわかったとき、ファンはどう感じるか。効率と熱量は、必ずしも同じ方向を向いていない。
BandsintownもLayloも、ツアーに出るアーティストを支える側のプレイヤーだ。今回の機能が現場でどこまで使われるかは、これから見えてくる。ただ、方向性は明確で、AIが「音楽を鳴らす場所」にじわじわと入り込んでいる。
集客の悩みがAIで解決するなら、アーティストはその分だけ音楽に集中できる。それは素直にいいことだと思う。でも、フロアを熱くするのは最後まで人間の仕事であってほしい、とも思う。あなたはどっちだろう。
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