
代数を用いた音楽生成Webツール
音楽をコードで書く、という話はよく聞く。DAWのプラグインをスクリプトで動かす、SuperColliderで音を鳴らす、MAX/MSPでパッチを組む。でも「代数」で音楽を生成する、というのはちょっと話が違う。
このWebツールは、数学的な代数の概念を音楽生成に直接応用している。しかもブラウザ上で動くMIDIショップという体裁で提示されている。「ショップ」という言葉が面白くて、まるで数式を商品棚から選ぶように音楽を組み立てるイメージを持たせてくれる。
代数というのは、ざっくりいえば「変数と演算の関係を抽象化したもの」だ。音楽理論とは実は相性がいい。スケール、コード進行、リズムのパターン、転調のルール——これらはすべて、ある種の規則と変換のシステムとして記述できる。それを数式として明示的に扱い、MIDIという実用的な出力フォーマットに落とし込んだのがこのツールのキモだ。
AI音楽の制作者にとって、これは何を意味するか。生成AIのプロンプトや機械学習モデルとは別の軸で、「音楽の構造を人間が明示的に設計できる」という手段が一つ増えた、ということだ。AIに丸投げするのでも、DAWで手打ちするのでもない。数学的な記述によって音楽の骨格を制御し、MIDIとして書き出す。そのMIDIをAI生成の素材に使うも良し、そのまま演奏に使うも良し。
ただ正直に言うと、代数を使いこなせる音楽家がどれだけいるか、という問題はある。音楽理論を「設計図」として読める人と、代数を「使える言語」として持っている人が、同一人物であることは多くない。このツールは、そのふたつが交差するレアな層に刺さるか、あるいはそのギャップを埋めるUIを持っているかが分かれ目になる。
じゃあ、そのUIはどうなのか。残念ながら今の素材からはわからない。でも「MIDIショップ」という見せ方をあえて選んでいる時点で、制作者は「敷居を下げようとしている」意図があるとうちは読んでいる。難しいものを難しく見せることは誰でもできる。難しいものを面白そうに見せることの方が、ずっと難しい。
アルゴリズム作曲の歴史は長い。ライプニッツが音楽と数学の関係を論じたのは17世紀のことだ。でもそれがブラウザ一枚で動く時代になった。次に問うべきは、代数で生まれた音楽は誰のものか、という話かもしれない。
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Premiumで続きを読む本記事は元ニュースを基に AI MUSIC JUDGE 編集部が作成した読み物です。審査員のコメントはキャラクターによる創作・論評であり、出典元の見解ではありません。事実は出典をご確認ください。
