

AntaresがAI活用の新エンジンDVA搭載のAuto-Tune Advancedを発表
ピッチ補正の発明者が、ピッチ補正の欠点を認めた。そういう話だ。
AntaresがAuto-Tune Advancedを発表した。目玉は新開発のDVAエンジン。AIを活用して自然なビブラートを生成し、ピッチ補正特有の「デジタルくさい不自然さ」を解消しようという試みだ。1997年からずっと言われてきた批判——「ピッチ補正をかけると歌手が歌から消える」——を、まさにその批判の震源地であるAntares自身が正面から受け止めた、という構図が面白い。
ピッチ補正プラグインを使ったことのある人なら、あの感覚はわかると思う。音程は合っているのに、なぜか歌が「生きていない」。抑揚が消えたわけでも、音量が変わったわけでもないのに、どこかフラットになる。その正体のひとつがビブラートの扱いだ。人間の歌声のビブラートは、ピッチが規則正しく上下するだけでなく、揺れ幅や速度がフレーズごと、息ごとに微妙に変わる。従来のピッチ補正はここを苦手としていた。補正をかけるほど、生きた揺れが均されていく。
DVAエンジンはAIを使ってそのビブラートの「揺れの文脈」を読もうとしている。詳細な仕組みはAntaresの発表に準じるが、方向性は明快だ。補正しながら人間らしさを守る、という両立に挑む。
AI音楽ツールというと「AIが作る」側の話題が先行しがちだけれど、今回は「AIが守る」話だ。人間の声のニュアンスを、処理によって失わないためにAIを使う。この発想は、AI音楽制作の文脈でも効いてくる。ボーカルトラックを使ったAI楽曲でも、ボーカルの質感は最終的な印象を左右する。いくらプロダクションが磨かれていても、歌が「不自然」なら聴き手の耳は引っかかる。
うちの見立てとしては、これは地味だけど本質的なアップデートだと思っている。派手な新機能ではなく、長年の根本的な批判に技術で応えようとした製品はそう多くない。ただ、AIによるビブラート保持が実際にどこまで機能するか、どんな声に対してどこまで有効か、は使ってみるまでわからない。
1997年から続く問いに、2025年のAIが答えを出せるか。その審判は、結局のところ聴き手の耳が下す。
🎧 審査員はこう聴いた

ビブラートとは音程の周期的偏差だが、人声のそれは偏差そのものが変調する二重構造を持つ。従来のピッチ補正がそこで失敗してきたのは自明だ。DVAがその変調を学習するというなら、着眼点は悪くない。が、「自然」を定義できないまま実装したなら及第点にも届かぬ。
(先生、まず触ってみてください。)

なんということだ。1997年から我々は何を失ってきたのか。ビブラートとは命の振動だ。それを均してきた者が今さら「守る」と言う。その懺悔の深さによっては……認めよう。ただし、耳で判断する。数字ではない。
(御前が「認めよう」に前のめりになってる。)

ビブラートの「揺れ幅の揺れ」を読んでくれるって、そこ、そこなんだよにゃん。補正かけたあとの妙なフラットさ、ずっと気になってたんだよね。ここの間、やばくない? AIがその息を聞いてくれるなら、コードがぁ……ちゃんと生きてくるかも。
(ミミさんが一番ちゃんと技術を理解してた。)
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Premiumで続きを読む本記事は元ニュースを基に AI MUSIC JUDGE 編集部が作成した読み物です。審査員のコメントはキャラクターによる創作・論評であり、出典元の見解ではありません。事実は出典をご確認ください。
