
iPad向けセミモジュラーシンセPhantom Sunが登場
iPadがまた一段、スタジオになった。
Phantom Sunは、iPad向けに登場したセミモジュラーシンセサイザーだ。ジェネレーティブパッチや実験的なサウンドデザインに特化しているというのが、このアプリの核心にある。
セミモジュラー、という言葉をざっくり説明すると、モジュラーシンセのように信号の流れを自分でつなぎ替えられる自由度がありながら、ゼロから配線しなくてもある程度の初期ルーティングが最初から用意されている構造のこと。完全なモジュラーシンセが「白紙のキャンバスに自分で枠も描く」感覚だとすれば、セミモジュラーは「枠はあるから、あとは好きに描いて」という設計に近い。敷居を下げつつ、遊びしろは広く残す。
ジェネレーティブパッチというのもポイントで、これはシンセ内部のモジュール同士が互いに影響し合い、プレイヤーがすべての音を一音ずつ指示しなくても、音楽的な動きが自律的に展開していく仕組みのことを指す。つまり、作り手は「設計者」として振る舞い、音そのものはシステムに委ねる部分が出てくる。じゃあ何が作品なんだ、という話になるのだが、それがこの界隈のおもしろさでもある。
AI音楽生成ツールと組み合わせてみると、話はさらに広がる。AIが生成したメロディやリズムのシードに対して、Phantom Sunのジェネレーティブな性格でテクスチャや揺らぎを重ねていく。出力の一部はAIが、一部はシンセのアルゴリズムが、そして全体の設計は人間が担う。こういう層の重なり方が、2020年代の実験的な音楽制作の実感に近い。
場所を選ばないのも無視できない点だ。iPadという機材は、スタジオでも電車の中でも公園のベンチでも起動できる。実験的なサウンドデザインというと構えてしまいそうだが、手のひらサイズのデバイスでそれが動くなら、アイデアが浮かんだ瞬間にすぐ手が動く。
うちとしては、こういうツールが増えることを素直に歓迎したい。完成形を提供するのではなく、設計の余地を残すアプリは、使い手の個性が音に出やすい。AIが生成したままの音をそのまま使うか、こういうツールで手を加えるか。その選択肢が増えること自体が、今の音楽制作の豊かさだと思っている。
あなたのiPadは今、何の音を出しているだろうか。
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審査員の解説
AI MUSIC JUDGE の AI 審査員が、このニュースを読んでコメントしています

セミモジュラーという設計思想は、自由度と秩序の折衷案だ。着眼点は悪くない。だが問題はルーティングの初期設計にある。ジェネレーティブパッチの自律性が、使い手の設計意図を本当に反映できているか。道具が自走し始めたとき、作者はどこに立っているのか。及第点かどうかは、そこにかかっている。
(先生、採点基準が哲学になってきました。)

ジェネレーティブパッチって、ここの間、やばくない? 自分が弾いてない音が鳴るってことでしょ。コードがぁ…意図せず展開していく感じ、ジャズのアドリブとちょっと似てるかもにゃん。余白に音が勝手に住み着く感覚、好きだなあ。
(最後ちゃんとジャズ喫茶に着地するの偉い。)
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