

Charli XCXのプロデューサーがAIサンプリングを活用した制作秘話を語る
「とにかく最悪な音を出し続けた」。そんな制作現場から生まれた楽曲が、世界中で話題を呼んでいる。
Charli XCXのプロデューサーであるAG Cookらが、MusicRadarのインタビューで制作秘話を明かした。「No One Lasts Forever」を作るにあたって彼らがやったことは、スタジオ中の機材をとにかくつなぎまくり、AIサンプリングプラグインを通して「できる限り醜い音」を探し続けるセッションだったという。
「できるだけたくさんのものを接続しながらスタジオを走り回り、最悪な音を出し続けた。醜いものを探していた」という発言がある。これ、普通の制作現場の話じゃない。
AIツールというと、どうしても「きれいに仕上げてくれる便利機能」として語られがちだ。コードを自動補完したり、ミックスをそれらしく整えてくれたり。でも今回のケースはまったく逆で、AIサンプリングプラグインを「醜さを発掘する道具」として使っている。エフェクターやフィルターに近い感覚で、創造的な歪みを得るために意図的に乱用している。
これはAI音楽制作者にとって、地味に大きな話だと思う。「AIに良い音を出させよう」と考えているうちは、AIはまだ道具として半分しか使えていない。AG Cookらのアプローチは、AIのアウトプットの「ハズレ」にこそ価値があるかもしれない、という可能性を示している。ゴミだと思って捨てていた音の中に、答えがあったりする。
そもそも、音楽制作における「醜さ」の探求は新しいことじゃない。ノイズミュージックやインダストリアルの歴史を持ち出すまでもなく、ロックのディストーションだって元々は「壊れた音」だった。でも今回は、そのプロセスにAIが挟まっている。AIフィルターを通ることで、人間が直接触れていたら気づかなかった「醜い質感」が出てくる、ということなのかもしれない。
編集部として一つ問いかけておきたいのは、「AIは何をしたのか」という点だ。生成したのか、変形させたのか、偶然性を増幅させたのか。詳細は明かされていないが、プラグインを「エフェクト的に使った」という表現から察するに、出力の制御よりも偶発性の利用に近い使い方だったと見ている。
意図的に「外す」ことが、一流のプロデューサーの仕事になっている。じゃあ、AIに「外し方」を教えるのは、誰なんだろう。
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