

iZotopeがNative InstrumentsからBoris FX傘下へ移行
iZotopeが、またどこかへ行った。
AIを活用したミキシング・マスタリングプラグインで知られるiZotopeが、Native Instrumentsブランドの傘下を離れ、Boris FXの一員となることが発表された。プラグイン業界でいえば、Boris FXはAfter Effectsなどの映像制作向けツールで名が通っているあのBoris FX。音楽と映像、一見かけ離れた文脈がここで交差した。
iZotopeといえば、RX、Ozone、Neutronといった定番ツールを生み出してきた、AI×オーディオ処理の先駆者的存在だ。ノイズ除去、自動マスタリング、インテリジェントなバランス調整。そういった「AIが耳の代わりをやってくれる」系機能を早い段階から製品に組み込み、DTMerやエンジニアの作業フローを変えてきた。うちのサイトのテーマに照らせば、iZotopeはまさに「AIが音を聴く側に立つ」ツールを作ってきた会社でもある。
Native Instrumentsとの結びつきは、2021年の大型統合の流れの中で生まれたものだった。あのとき、音楽制作ツール業界は「大きな傘の下にまとまれ」という空気があった。それから数年、今度はBoris FXという映像よりの企業の傘に移るという。業界再編はまだ続いている。
じゃあ、この移行がAI音楽制作ツールの未来にどう効いてくるのか。
Boris FXは映像効果・視覚処理のノウハウを持つ。iZotopeはオーディオ処理のノウハウを持つ。両者が同じ屋根の下に入ることで、映像と音声をまたいだAI処理の統合、つまり「映像編集の中でオーディオも自動で整う」みたいなワークフローが視野に入ってくるかもしれない。逆に、iZotopeのプロダクトロードマップが映像業界寄りの優先順位に引っ張られるリスクもある。音楽制作ユーザーからすれば、そこは少し気になるところだ。
今のところ、具体的な製品統廃合や機能変更についての情報は出ていない。経営体制の変更が、現場のツールにどのくらいの速さで影響するかは、もう少し見守る必要がある。
企業の看板が変わっても、RXのノイズ除去は相変わらず仕事をする。でも、誰がそのAIの「耳」を育てていくかは、長い目で見れば製品の哲学に関わってくる話でもある。iZotopeの耳が、Boris FXの視点を得て鋭くなるのか、それともどこかちぐはぐになっていくのか。次のアップデートを、うちはちゃんと聴きに行くつもりだ。
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