
Sony MusicのUdio訴訟、3万件の録音追加請求が棄却される
訴訟って、数が多ければ強いわけじゃないらしい。そんな当たり前を、連邦地裁がきっちり突きつけた話だ。
Sony Musicが生成AIサービス「Udio」を著作権侵害で訴えている裁判で、Sonyは訴訟対象の楽曲を3万件以上追加しようとした。当初の333件に加えて、だ。3万と333。なんとなくスケール感の差がすごい。でも裁判所は、その追加請求をきっぱり棄却した。対象はあくまで最初の333件のみ。
なぜSonyが大量追加を狙ったのかは想像に難くない。著作権侵害の訴訟で「被害の規模」を示すことは、賠償額にも印象にも直結する。3万件という数字は、それ自体がメッセージになる。AIが学習データとして飲み込んだ音源の数を、そのまま法廷に並べたかったのだろう。
ただし裁判所はそれを認めなかった。訴訟の管理可能性や手続き上の要件が絡む判断だったとみられるが、結果として「範囲の制限」が確定した形だ。
これはAIと音楽の著作権争いにとって、地味に大きな一手だと思う。なぜかというと、今後の法的判断の「射程」が変わってくるからだ。333件について下された判決は、あくまで333件の話になる。仮にUdio側に不利な結論が出たとしても、それが自動的に残り3万件に波及するわけではない。つまり、業界全体への影響がそのぶん限定される可能性がある。
AIで音楽を作る立場の人間にとっては、この裁判の行方は他人事じゃない。AIが学習に使えるデータの範囲、既存楽曲との関係、そこに著作権がどう絡むか。判決の一つひとつが、今後のルールの輪郭を少しずつ描いていく。
うちの見立てとしては、今回の棄却は「Sonyの敗北」というより「裁判所が場を整理した」と読む方が正確だと思っている。大量の楽曲を一括で争わせることの法的・実務的な重さを、裁判所が現実的に判断した。それだけのことかもしれないし、それが全てかもしれない。
じゃあ333件の判決が出たとして、残りの3万件はどこへ行くのか。Sonyはあきらめるのか、別の手を打つのか。AIと著作権の戦線は、まだ始まったばかりだ。
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