
バッド・バニーの楽曲での無断音声使用、プエルトリコ最高裁が訴訟を容認
バッド・バニーが元交際相手の声を無断で楽曲に使った——。そう言われると、まずどんな画が浮かぶだろう。感情的なサンプリング? それとも親密さゆえの「借用」? いずれにせよ、プエルトリコ最高裁はその行為を「審理に値する」と判断した。アルバム『Un Verano Sin Ti』収録トラックに、元交際相手の音声が本人の同意なく使われたとする訴訟を、最高裁が正式に容認したのだ。
このニュース、AI音楽の世界に生きる人たちにとっては他人事じゃない。むしろ「声の権利」という問題の核心を、有名人の実例がくっきりと照らし出してくれた出来事とも言える。AI音声合成やボイスクローン技術が急速に普及している今、誰かの声を「素材」として扱う行為のリスクは、DAWのプロジェクトファイルを開く前からすでに始まっている。
今回の争点は、AIでも機械でもない。生身の人間の声が、本人の知らないうちに作品に組み込まれていたという、ひどくアナログな話だ。それでも裁判所が動いたという事実は重い。声というものが法的に保護される「個人の財産」である、という認識がここで改めて司法に刻まれたことになる。
うちの見立てを言う。この判決が音楽業界に投げかけているのは、「使ってよいか」ではなく「使う前に聞いたか」という問いだと思う。アーティストとして作品を作る喜びと、他者の声や存在を素材化することの間には、技術がどれだけ進化しても埋まらない倫理の溝がある。AIが人の声を瞬時に複製できる時代になったからこそ、この溝は以前より広くなっている、とすら言えるかもしれない。
AI音楽の制作者が参考にすべき法的な教訓が、世界最高クラスのレゲトンスターの訴訟から生まれようとしている。洒落にならない話ではあるが、だからこそ目を逸らせない。あなたのプロジェクトに使っている声は、本当に「あなたが使ってよい声」ですか?
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