
ABBAのビヨルン・ウルヴァエウスがAIと著作権について講演
「アウトプットを追跡することは、最初から間違った問いだった」。ABBAのビヨルン・ウルヴァエウスが国連のAIサミットでそう言い放った。ポップ史に残る名曲群を生み出してきた作曲家が、今度はAIと著作権の話し合いの場に立っている。時代は確かに動いている。
AI音楽をめぐる議論でよく見る光景がある。「このAI生成曲は誰かの作品に似ているか」「学習データに何が含まれていたか」という、いわば出口と入口の話だ。ビヨルンが提言したのはそこではない。AI生成物のライセンス管理よりも先に、権利者そのものをどう守るかという土台の議論をすべきだ、という話だ。問いの設定からやり直せ、ということである。
これはAI音楽の作り手にとって、他人事ではない。自分が作った楽曲が学習データになるかもしれない時代に、「誰が・何を・どう守られるか」というルールがまだ追いついていない。ビヨルンの発言は、そのルール作りの優先順位を問い直すものだ。音楽業界全体が直面している論点を、彼は国連という場で正面から提示した。
うちが正直に思うのは、こういう発言が「大物アーティストの御意見」として消費されて終わらないかどうか、だ。「アウトプットを追うな」という視点は鋭い。AI生成物の表面だけを検査して権利問題が解決できるなら、とっくに解決している。問題の根は、誰の何がどのように使われているかを把握する仕組みそのものにある。
ただ、「権利者保護のあり方を議論すべき」という提言は、同時に「ではどうするか」という具体論とセットでないと動かない。国連のサミットで問いを投げることには意味がある。でもその後、誰が答えを作るのか。AIで曲を作っている人たちも、気づかないうちにその答えの影響を受ける側になる。
「正しい問いは何か」を問い直した人がいた。では次に、正しい答えを誰が出すのか。
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