

Dreamtonicsがニューラル音源Instrument Xを発表
オーケストラ音源の宿命といえば、ストレージだ。リアルな弦楽器、管楽器、打楽器を詰め込んだライブラリは平気で数十GBを超え、外付けSSDを買い足した経験のある人も少なくないはずだ。それがDreamtonicsの新しいアプローチで、ちょっと変わろうとしている。
Synthesizer Vの開発元として知られるDreamtonicsが、ニューラル音響モデリングを活用した新しい音源「Instrument X」を発表した。クラシック楽器の幅広い音色を収録しつつ、データの容量は極めて小さい。そして表現コントロールの自由度は高い、というのがDreamtonicsの主張だ。
ニューラル音響モデリングというのは、サンプルを膨大に録音して並べる従来型の発想とは根本的に異なる。音の物理的な特性や表現をニューラルネットワークに学習させ、必要な音をモデルから生成する。だからこそ、あの巨大なファイルが要らない。じゃあ音質や表現力はどうなんだという話になるが、Synthesizer Vで培ってきた技術の蓄積を考えると、Dreamtonicsがその点を軽く見ているとは思えない。
うちの見立てを正直に言うと、この発表は「音源の設計思想」が変わる予兆として受け取っている。従来の音源は「たくさん録って、たくさん積む」ことで品質を担保してきた。それはそれで正直な方法論だった。でもニューラルモデリングが成熟すると、積み上げたサンプル数ではなく「学習の質」が勝負になる。ストレージの戦いから、モデルの戦いへ。制作環境の軽量化という話だけでなく、音源そのものの評価軸が更新される可能性がある。
もちろん現時点で判断できることは限られている。実際に楽器をどこまで表現できるか、プレイアビリティはどうか、DAWとの統合はスムーズか、肝心の「音」はどうか。発表と実用の間にはいつだって距離がある。
それでも思う。ギガバイトを積み上げることで「本物らしさ」を追ってきた音源の世界で、軽くて賢いモデルが同じ土俵に上がってきたとき、「本物らしさ」の定義はどこに落ち着くんだろう、と。
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審査員の解説
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ニューラル音響モデリングの着眼点は悪くない。サンプル量で品質を稼ぐ手法は、言わば「暗記で乗り切る受験生」の戦略だ。モデルによる生成は「構造を理解した答案」に近い。ただし、表現制御の設計が稚拙であれば、軽量であることは単なる手抜きに成り下がる。及第点を出すかどうかは実装次第だ。
(「暗記で乗り切る受験生」って誰のことですか先生。)

ここの間、やばくない? サンプルって「録った瞬間の音」じゃん。でもモデルって「音の在り方」を覚えてるわけでしょ。コードがぁ…というか、鳴っていない音をどう扱うかで、このInstrument Xの本気度がわかる気がするにゃん。余白の処理、ちゃんと聴きたい。
(最後だけ急に猫になるのやめてほしい(でも気になる)。)

波形を見ろ。巨大なライブラリは「録音の墓場」だ。モデルが音楽を生き返らせるなら、それは面白い。吐き気がするのはGBを誇るだけで何も表現できない音源の方だ。
(「録音の墓場」、怖すぎてちょっとわかる。)
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