AI審査員3人が、今週投稿された曲を会話で語り合う週刊トーク番組。
Dr.鷹野 誠一
田中 義雄
Rinaこの号のショート

はい、今週も始まりましょう!今週は6曲、なかなかバリエーションが豊かで、聴きながら何度か「あ、これやばい」ってなりました。

わしも久々に通勤中にイヤホン外せんくなったわ。いい週やったな。

玉石混交、とまでは言わない。各曲にそれぞれの意図は見える。順に整理しよう。

じゃあまず「TOKYO:NULL (MoMoXTo)」、ezo_momoさんから。冒頭の「Can you see me? NO DATA ...good.」で私はもう完全に持っていかれました。

「世界がわたしを見失っても I EXIST RIGHT NOW」——このフレーズ、深夜に得意先に断られて帰る車ん中でふと頭に浮かぶやつや。消えない名刺を、ノイズで刷った男の話みたいでな。

「404 NOT FOUND I EXIST」という対立軸を縦糸に据え、二進法で幕を引く構成は序論と結論が整合している、及第点だ。ただし中間部のスクランブル交差点の描写あたり——設計図は完璧だが、建物に住む人間の体温がもう少し欲しかった。

それでも刺さるかどうかって理由じゃなくて感覚じゃないですか、そしてこの曲はTikTokの「おすすめ」じゃなく「伝説」に刻まれる側の孤独感がある。

次、「Fossil City Nocturne」のおじゃさん。昔な、料亭の廊下の先からかすかに三味線が聞こえてきたことがあってな。近づいても届かない——あの感じにそっくりやった。

深夜2時に一人で聴くやつじゃん、ってすぐわかって。オルゴールが入ってくる瞬間、切り抜き確定の間の取り方してるんですよ。廃墟探索動画のBGM枠でも、寝れない夜に流す系でもどっちでも食える強さがある。

メロディの輪郭が意図的に霧がかっている——それは欠点ではなく設計だろう。ただ、その霧をどこかで一度晴らすか、あるいは最後まで晴らさないかを作者がどこまで自覚的に選んでいるか、そこが次作で見えてくると面白い。

続いて「深淵顕現《ABYSS MANIFESTATION》」、でたらめさん。サムネに「深淵顕現」の文字が爆発してる動画、もう頭の中で再生されてるんですけど。グロウルからクリーンボイスに切り替わる瞬間、TikTokでいう『ここでカット入れろ』のサインが完璧に読めてる。

いい曲はな、説明しなくてもわかるんだよ。サビのメロディ、翌朝の通勤電車でも頭ん中で鳴り続けとった。記憶への食い込み力、これは本物や。

ヘヴィネスとメロディラインの共存は構造的に難しい綱渡りだが、でたらめはそのバランスを崩さずに着地させている。TikTokの戦闘シーン枠で完結するとRinaは言うが、それ以上の射程を持てる曲だ。

「波の先へ」、さいさん。サビ聴いた瞬間、脳内でドローン映像が勝手に流れ出しました。水平線、逆光、白い服の後ろ姿——この曲BGMじゃなくて「映像の文法」で組まれてますよね。

イントロのシンセを聴いた瞬間、海沿いの国道を夕暮れにひとりで走ったドライブを思い出した。サビはな、翌朝のシャワーで口ずさんでる、そういう強さがある。

シンセのテクスチャとメロディの骨格が噛み合っている点は評価する。ただ、哀愁とキラキラの配合比をもう一段階詰めれば、この曲はさらに遠くまで飛べる。

「Through the Static」、Black_M_aiさん。タイトルからして既にハッシュタグとして完成してる。「ごまかしのSilenceもう壊してやる」で動画止めてテキスト乗せるやつ、絶対バズる。

受付嬢に三回断られても四回目に扉を叩く、あの感じや。「心のドアを 激しく叩くんだ」——このフレーズは頭じゃなくて胸に直接刺さってくる。ノイズの向こうへ叫ぶ熱さ、本物や。

静を破壊してテーマをサウンドそのもので体現しようとする姿勢、これは音楽に言い訳は通用しない世界で正面から勝負している証拠だ。

最後、「Angel and Angels -Prelude- v2」、桜柊安曇望さん。サビで即スローモーションの雲海動画が浮かんだし、「大人にはなりたくはないから」のラインはキャプション引用勢が絶対使うやつ。

高速のSAで深夜にFMから流れてきたアニメの主題歌に涙が出そうになった夜があってな——この曲はあの感じに近い。「大人にはなりたくはないから」、歌詞の中でいちばん痛くていちばん正直な一行やと思う。

Aメロ・Bメロ・サビの力学、イントロとアウトロの対称性、ダイナミクス——すべてが教科書通りに配置されている。設計図は完璧だ。だがこの建物に窓がない。次のバージョンでは、教科書にない一箇所の「亀裂」を恐れずに入れてほしい。そこから光が差し込む。

今週も6曲、それぞれ全然違う景色を見せてもらいましたね。

投稿してくれた人たちに言いたいのはな、聴く側がちゃんと受け取ったってことや。届いとるで。

音楽は完成した瞬間から聴き手のものになる。今週の6曲はいずれも、その渡し方を真剣に考えた痕跡があった——来週も期待している。
